これまで、Linuxの技術者認定資格と言えばLPICでした。
これはLPI(Linux Professional Institute)という組織が実施してきた試験であり、日本では2000年に設立されたLPI-JapanがLPIC(Linux Professional Institute Certification)を展開していました。
しかし!
2018年に入り、その形態がガラリと変わったのです。
LPI-JapanはLPICとは別に、新たにLinuCという日本独自の資格を実施していくこととなったのであります。
・・・システムエンジニアは困惑しています。(笑)
どうしてLPI-JapanはLPICを辞めたのか
私は2017年3月にLPICレベル1を取得しており、IT業界に転職してはじめにとった資格です。
LPICはLinuxというオペレーティングシステムの操作やシステム管理、利用するための知識を問う試験です。
世界100カ国以上で実施されているあまりに有名な試験です。
その試験を今までLPI-JapanというLPIの下部組織的な雰囲気の団体がLPICの試験を実施して来ました。
ところが、2018年に入り新たにLinuC(Linux Professional Certification)という試験を始めると宣言したのです。
LPICを引き続き取り扱っていけば良いのでは?と多くの方が思ったはずです。
しかし、LPI-JapanはLinuC一本でいくようです。
LPI-Japan 公式ページ
https://linuc.org(外部リンク)
では、どうしてそんなことになったのでしょうか?色々調べてみました。
LPI-japanがLPICを取り扱わなくなった理由は主に2つあるようです。
1つ目は、Linuディストリビューションが国と地域によってシェア率が異なるため、日本で今後ニーズが高まると思われるUbuntuやDebianなどに合わせたテスト内容にしていくべきと考えたから。
簡単に言ってしまえば、Linuxはいくつかのシリーズ、パッケージに別れていてLinux=1つではないため、日本でニーズのあるパッケージに関する内容を中心に扱っていくということです。
LinuxはDebian系、Red Hat系、その他たくさんのパッケージがあります。
Linux自体がフリーかつオープンソースなソフトウェアであるため、独自に開発・改良が進められて来ました。
よって、多少コマンドやシステム構成が違うパターンのものが確立されていったわけです。
いろんな国の組織が改良を加えていっているため、国ごとにシェアが異なるということです。
日本での詳しいシェア率まで調べていませんが、LPI-Japanは日本でシェア率の高いUbuntuやDebianに合わせて試験内容を作っていくということです。
2つ目は、LPICの試験はテスト内容が第三者から購入できるようになっていて、試験の公平性や信頼性が下がって来た(とLPI-Japanは感じている)からです。
下記は参考記事です。
教育機関・法人にとってのLinuC(リナック)の価値
https://linuc.org/about/02.html(外部リンク)
これは「あっ、言っちゃったーーーーーー」と多くの人が心で叫んでしまったことでしょう。
LPICの試験は参考書を解いたり、Ping-tに取り組めば合格ラインの60%はまぁ超えられるので、試験を合格することがそこまで難しいことではありません。
ですので、”真面目に勉強してパスできる試験”です。
しかしながら、あまりに多くの国で実施しすぎの弊害か、問題内容が流出してしまっているのです。
第三者が”的中しまくる予想問題集”を販売していて、それさえ手に入れればカンタンに合格できてしまいます。(わたなべは真面目路線で合格しました)
そうなってしまうと、資格の社会的・世間的な価値が下がってしまいますよね。
ひどい場合は「流出問題で合格?それとも真面目に合格した?」なんて面接とかで聞かれ兼ねません。
その状況をなんとか解決したいとLPI-JapanはLPI本部と交渉して来たようですが、その解決には至らなかったようです。(えっ)
そして、LPI-Japanが独自に試験を作るようになったという訳のようです。
試験内容の違いは?
試験内容に関してIT人材ラボでLPI-Japanの理事長がこのように説明しています。
一方、LinuCは日本独自の資格なので、日本の企業や社会が求める技術レベルや内容に細かく合わせることができます。ただし、LPICからの連続性および整合性を確保するために、LinuCの試験範囲はPhase 1、Phase 2の2段階に分けて設定・変更していきます。
Phase 1(第1段階)では、現行のLPICとまったく同じ試験範囲で実施します。資格体系も同じです。そのため、これまでLPIC受験を考えて学習を続けてきた方も、そのままLinuCに切り替えてチャレンジしていただけます。
Phase 2(第2段階)で、いよいよ日本国内のニーズに合わせた内容で、試験範囲を変更します。Phase 2への移行時期は、2019年半ばを予定しています。
引用:LPI-Japan 成井理事長が明かす、独自のLinux新資格試験「LinuC」で実現を目指すものとLPICとの関係性
https://itjinzai-lab.jp/article/detail/950(外部リンク)
2018年はLPICとほぼ同様の範囲で、今後は少しずつ変わっていくようですね。
結局LPICとLinuCどっちを取ればいいの?
これはちょっと難しいところですが、日本人ならLinuCの取得で良いかと思います。(わたなべの見解)
LPICの試験は流出問題等が出回っていることを多くの人が知っているので、LPI-Japanがそれに対して公平で信頼されるような資格を目指してLinuCを立ち上げました。
元々はLPICを取り扱っていた人たちが”資格の信頼性”を高めたいという思いでLinuCが始まったわけなので、その人たちは少なからず「LPICは意味のない試験になりつつある」という認識に近いことを感じているはずです。(と、わたなべは予想している)
LPICも引き続き受験することは可能ですが、日本人が日本人相手に仕事をする分にはLinuCで良いでしょう。
私も次にレベル2を取ることになるならそうする予定です。
今後のLPI-JapanとLPI本部との繋がりって?
LPICやLinuxについて色々調べながら記事を作っていましたが、LPI-JapanとLPI本部に深い溝がありそうです。
「LinuCではなくLPICを受けるべきだ。」という記事も見つけました。
ですが、私はLPI-Japan側の主張に同感で、実はそれには別のIT試験のことが頭によぎったため、LPI-Japanの方向性に賛成しているというのがあります。
次回、IT資格のデンジャラスゾーンに触れる記事を書いていきたいと思います。